忘却の勇者

「んんや出来ないね。子供には保護者の同伴が義務付けられてんだ。俺が代わりにお前の保護者になってやるよ」


白い歯を見せ親指を突きたてる。


なんにも分かってない。全然分かってない。


コーズが来てくれれば心強い。


一人旅にも限界があるし、それになにより仲間がいるだけで安心感を得ることが出来るし、精神的な支えにもなるだろう。


けれどそれは望んではいけない。


自分は勇者の血を引く最後の人間。


勇者と関わって人間の末路は、どれも悲惨なものだった。


コーズが大事だからこそ、大切な友だからこそ、勇者と魔王という深い因縁の因果に巻き込んではならない。


それに、


「コーズにはミウちゃんがいるじゃないか」

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