忘却の勇者
少女の決意

そんなこんなで話が解決するわけがなく夜を迎えた。


精神支配の魔法から解かれたとはいえ、まだ肉体と精神が完全に回復したとは言いがたい。


コーズはすぐに寝つき、オレオは一人リビングでホットコーヒーを口にしていた。


砂糖とミルクがたっぷり入ったコーヒー。味覚もまだまだお子ちゃまだ。


どうしても寝付けなくて窓から三日月を眺めていると、ふいに足音が聞こえてきた。


こちらに近づく。オレオは音のする方へ顔を向けると、足音の主は毛布を肩にかけたミウだった。


「寝てなくちゃ駄目だよ。まだ体力が回復してないんだから」


「分かってます。だけどオレオさんとお話しするのは今しかないと思って」


話とはなんだろう?


ミウは近くの椅子に腰掛けて、窓辺に立つオレオを見上げた。


月明かりがミウの顔を映し出す。


ミウはゆっくりと言葉を紡いだ。
< 73 / 581 >

この作品をシェア

pagetop