忘却の勇者

朝食の香りに酔いしれるが、直後に後頭部に鈍痛が走った。


薄れ行く意識の中でコーズが見たものは、


「オレ、オ……?」


黒刀の鞘を握るオレオの姿だった。


ドサリと倒れると、オレオはひょいっと持ち上げて椅子に座らせた。


彼の頭上にはお星様とヒヨコがクルクルクル。完全にイッている。


気絶したのを確認すると、オレオはミウに確認の言葉を投げかけた。


「本当にいいんだね?」


「はい。このままお兄ちゃんを連れてってください」


昨晩の回答はYES。


オレオはコーズと旅をすることに承諾した。


ミウのためにコーズのために。

< 79 / 581 >

この作品をシェア

pagetop