忘却の勇者
事実オレオとコーズ二人分の荷物が入ったがまだ空き容量が残っている。なかなかの高級品だ。
これにコーズも入れば楽なのだが、残念ながら生き物を異次元指輪に入れることは叶わない。
準備が終われば、後はコーズが気付く前に村を立つだけ。
彼を背負う。
オレオのパワーを持ってすれば、人一人担ぐことなど造作もない。
ミウに王都への道筋が描かれた地図を受け取ると、片手で玄関の扉を開き外に出た。
兄妹の別れ。
兄はオレオの背中でのびているが、妹は目に涙を浮かべながらも必死で笑顔を取りつくろっている。
痛々しい表情にオレオは胸を痛めるが、動き出した歯車を止めることはオレオには出来ない。
これは彼と彼女が決めたこと。
そして彼の友人として自分が決めたこと。