忘却の勇者
オレオを柔らかく微笑むと、踵を返して歩き始めた。
背中に泣き声を聞きながら、オレオはギーノ村を去って行った―――
「これは一体どういうことだいオレオ君?」
「ミウちゃんに頼まれてコーズを拉致ったって言ってるじゃんか」
目が覚めたコーズに事の一連を喋った。
もちろん、ミウの心情の部分はうまく誤魔化して。
だがそれで納得する奴ではない。
なにしろ彼のシスコンぶりは、実の妹が認めるほどの異常っぷりなのだから。
「俺のミウがそんなことするわけない! そうか、きっとまだ夢魔に操られて!」
「夢魔が完全に倒したし、あんな珍しい魔物がそう何度も現れることはまずないよ」
「ミウぅぅぅ! お兄ちゃんのことを嫌いになったのかぁぁぁ!」