忘却の勇者
上質な砂漠越え専用のコートを纏った男性。腰には剣が携えており、商人でないことを物語っている。
コーズは男の頬を軽く叩く。
男は「うぅっ」と小さく呻った。どうやら意識はあるようだ。
オレオは急いで異次元指輪から水筒を取りだすと、飲み口を男の口に当てた。
その間コーズは男の荷物を物色している。
こんな時になにをしているんだ。
コーズは物色を終えると、男の腰にある剣を手に取った。
「この形……間違いない。これは騎士団の剣だ」
コーズは男の身元を確認するために荷物を漁っていたのだ。
「騎士団って、ということはこの人……」
「嗚呼、王国の軍人だ」
コーズが言うのだから間違いない。