忘却の勇者
身体を冷やさないように焚火の近くに兵士を寝かせる。
この場にいるのは兵士とコーズ、そしてラクダ。
オレオは魔物が辺りにいないか見て回っている。
真夜中の砂漠に一人で出歩くのは危険極まりないが、オレオなら大丈夫だろう。
逆に夜目が利かないコーズがついて行ったら、足手まといになってしまうだろうし。
二人仲良くお留守番。
いや、兵士の護衛としておこう。
それにしても夜目まで利くとは、勇者ってのは万能だなぁ。
などと思いながら、コーズは干し肉を噛みちぎった。今日の夜食だ。
組んだ木がパチッと音を立てて崩れると、兵士の瞼が微かに動いた。
「んっ……ここは?」
「お、気付いたみたいだな」