忘却の勇者

会話が続かない。


こういう時はそっとしてあげるのが一番良い。


コーズはその場に寝そべって、遠い空を見上げた。


それにしてもオレオの帰りが遅い。


すぐに戻ると言っていたが、彼これ三時間ほどが経過している。


まさか大型魔物に出くわしたとか?


ないな。それはない。


自分自身に言い聞かせる。


仮に出くわしたとしても、オレオなら逃げ切きることが出来るはずだ。


とはいえ心配だ。コーズにとってオレオは弟みたいなものである。


そんな義兄の心配をよそに、オレオは一人で夜の砂漠をさ迷っていた。


そう、迷ったのだ。迷子である。

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