かさの向こうに縁あり
布団に横になって、ただ寝ている。
白い襦袢を着て、私はただ黙っている。
言葉を紡ぐことすらできないくらい、心なしか息苦しくて。
口を開けば、また咳が出て、血を吐きそうで。
何も言わず、ただ仰向けの状態で布団に横になっているだけ。
それを見つめる一人の男性が、また右隣に座っている。
「ねえ、ヒヨリ……」
男性は儚げに話しかける。
“ヒヨリ”ーー妃依。
それは紛れもなく私の名前だ。
この“誰か”さん……実は私だったのだろうか。
確かに、この連続する夢を見始めた頃、男性に私の名前を呼ばれた気もする。
そうだとしたら、これは私なんだ。
私が別の、もう一人の“私”を夢の中で見ていたんだ。
今まで夢の中では、思考は自分、体は他人だと思ってきたけれど、それはどうやら違っていたみたいだ。
でもそうとなると、このまま私は夢の中で死んでいくのだろうか。
それが夢で終わればいいけれど、私まで死んでしまうのは少々心外だ。
このまま現代に戻れずに死ぬのなんて、嫌。
白い襦袢を着て、私はただ黙っている。
言葉を紡ぐことすらできないくらい、心なしか息苦しくて。
口を開けば、また咳が出て、血を吐きそうで。
何も言わず、ただ仰向けの状態で布団に横になっているだけ。
それを見つめる一人の男性が、また右隣に座っている。
「ねえ、ヒヨリ……」
男性は儚げに話しかける。
“ヒヨリ”ーー妃依。
それは紛れもなく私の名前だ。
この“誰か”さん……実は私だったのだろうか。
確かに、この連続する夢を見始めた頃、男性に私の名前を呼ばれた気もする。
そうだとしたら、これは私なんだ。
私が別の、もう一人の“私”を夢の中で見ていたんだ。
今まで夢の中では、思考は自分、体は他人だと思ってきたけれど、それはどうやら違っていたみたいだ。
でもそうとなると、このまま私は夢の中で死んでいくのだろうか。
それが夢で終わればいいけれど、私まで死んでしまうのは少々心外だ。
このまま現代に戻れずに死ぬのなんて、嫌。