かさの向こうに縁あり
一体、ここは何という通りなのだろうか。


それだけ謎のまま、私は真っ直ぐに伸びる道に従って進む。

聞くに聞けない。

それに一度でも曲がってしまえば、迷子になりそうだし。


通りの名前くらい分かっていれば迷うこともなかったかと言えば、それはまた話が別だ。

現代のように親切に標識なんてものは設置されていないわけだから、結局迷うことになるはず。


それにしても、こうして辺りを見渡しながら歩いていると、改めて気づくこともある。

京都は山に囲まれているんだな、とか。


京都の街はいわゆる盆地地形、と確か習った。

その影響で夏は暑くて冬は寒い、って聞いたっけ。

大子とは同じくらいなのかな、気候的には……なんて思ってみる。


私が住んでいる大子町も山に囲まれていて、夏は暑くて、冬は日本三名瀑の一つである袋田の滝が凍ってしまうほど寒い。


景色的には、山が迫っている感じの所で。

迫っている……というよりは、山と山の狭間に住んでいるような気さえするくらいの地形だ。


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