かさの向こうに縁あり
田舎ではあるけれど、今思えば本当にいい所だな、と思う。

自然は豊かだし、温泉もあるし。


何か言いたいことと言えば、交通の便がいまいちなこととか、遊ぶ場所が少ないことだろうか。


なんだか、そろそろ故郷が懐かしくなってきたみたいだ。


何だかんだでもう……5日はここで生きているから。


そして今日はもう6日目。

そろそろ故郷が、家が恋しくなる頃なんだろう。


時代と景色の違うこの世界では、私が生きていくには少々息苦しいのかもしれない。

これは本物の世界なのかな、と疑うことが未だにあるくらいだし。



私の身に起きていることは、夢なのか、現実なのか。

でもそれを確かめる方法はない。


ただ、一つだけ思いつく方法としてはこうだ。

副長さんの両頬を思いきりつねって、その行為に怒った彼に「何しやがる、ふざけんな!」と言わせ、私に同じことをさせる。

それで共に本物だということがすぐに分かる、のだと思う。


ただし、実践するわけがない。

副長さんが本当に怒りそうだし、何しろそんな両頬をつねるなんていう状況に至る場面は、今後絶対に訪れないと思うから。


なんておかしなことを考えてるんだろう、と自分に呆れる。


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