かさの向こうに縁あり
「妃依ー、起きなさーい」
いつも現実は、唐突に現れる。
いや、ただ私が母の一声で夢から覚まされただけのことだけれど。
「はーい」
母に感情のこもらない返事をして、私は布団をめくり、ゆっくりとベッドから床へと足を移す。
今日もまた、1日が始まろうとしている。
部屋のドアを開け、少しだけ新鮮な朝の澄んだ空気を家の中で味わう。
カーテンも開けず、リビングのある一階へと階段を降りていく。
踊場の小窓から光が漏れ、階段を降りる私を優しく包み込む。
初夏の6月、高校に入ってから初めてのテストが終わった今日この頃。
梅雨だというのに、あまりにも晴れ晴れとした空が見えることに、疑問を抱いていた。
今時の高校1年生が持ちそうな疑問ではないけれど。
どうしてこんなに晴れているのかな、とか、こんなに雨が降らなくて大丈夫なのかな、とか。
初歩的な、小学生でも考えそうなことぐらいしか考えられない私――女、村瀬妃依である。
いつも現実は、唐突に現れる。
いや、ただ私が母の一声で夢から覚まされただけのことだけれど。
「はーい」
母に感情のこもらない返事をして、私は布団をめくり、ゆっくりとベッドから床へと足を移す。
今日もまた、1日が始まろうとしている。
部屋のドアを開け、少しだけ新鮮な朝の澄んだ空気を家の中で味わう。
カーテンも開けず、リビングのある一階へと階段を降りていく。
踊場の小窓から光が漏れ、階段を降りる私を優しく包み込む。
初夏の6月、高校に入ってから初めてのテストが終わった今日この頃。
梅雨だというのに、あまりにも晴れ晴れとした空が見えることに、疑問を抱いていた。
今時の高校1年生が持ちそうな疑問ではないけれど。
どうしてこんなに晴れているのかな、とか、こんなに雨が降らなくて大丈夫なのかな、とか。
初歩的な、小学生でも考えそうなことぐらいしか考えられない私――女、村瀬妃依である。