かさの向こうに縁あり
毎日同じ夢を見るなんて……

しかも内容が奇妙すぎる。


なんか気味が悪くて仕方がない。


何かが起こる前兆……いや、その『何か』がタイムスリップだとしたら、後遺症?

いや、でもタイムスリップ以前から見ていたから違う。



何だか奇妙で気味が悪くて、良いことなんて一つもない。


良いことと強いて言うなら、ここに泊まらせてもらえたこと。

それ以外は何もない。


楽しいなんて感じずに生きていかなければならないのかな……



今の私はかなり悲観的で全てのことを諦め始めていた。



そんな時、障子がゆっくりと開いた。

そしてひょこっと顔を覗かせる女性が、そこに現れる。



「起きた?」



その問いに私は微笑んでこくりと頷く。


私の様子を確認した女性は、障子をさらに開けて私の方に歩み寄ってきた。

そして突然、何かを思い出したのか、「あ!」と声を上げた。



「そういえば、名前言ってなかったよね……」



やっぱり思い出すことと言えば、お互いの名前のことだった。


「そうですね、やっぱり気づきましたか」と言うような微妙な表情で私は頷いた。



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