かさの向こうに縁あり
沈黙が長く続くかと思いきや、平助が障子を閉めた数秒後に、この男は口を開いた。



「お前、平助とはどういう関係だ」



さっきから率直な質問ばかりだな、なんて溜め息を吐きたくなる。

まだ二度目だけど。


心中で長い溜め息を吐きながら、懐紙に墨をのせていった。

そして土方歳三の前にゆっくりと見せる。



『ただの命の恩人です』


「ふーん?」



どうしてか、よほど私を疑っているような目で私を見てくる。

私が平助の恋人だとか思ってるわけ?


そんなこと、絶対にあり得ないけど……悪くはないかもしれない。


じっと見つめられ、数秒の沈黙の後、再び彼は口を開いた。



「俺らのことはどれぐらい知ってんだ?」


『全然知りません』



それだけさっと書いて見せる。


知っていることといえば、3つしかない。

新選組が人斬り集団だということ、この男が副長で、平助は八番隊組長だということだけ。

それ以外は何も知らない。



< 74 / 245 >

この作品をシェア

pagetop