かさの向こうに縁あり
紙は今まで書いた分をだらりと垂らしている。

もちろん、昨日までの会話分は切り取ってあるけれど。



沈黙が部屋を支配する。


何かで遊ぶ、と言えば私はゲームで遊ぶことぐらいしか思いつかなかった。

もちろん、ここにあるわけがない。



「うーん……何がいいかなあ……」



そう呟いて原田さんは腕を組んだ。


悩んでいるのは原田さんと私だけ。

尾関さんと尾形さんはぼーっとしている。


どうやら先輩いじりには興味があるけど、遊びには全く興味がないらしい。



古風な遊びって何かあったっけ……


思考を隅々まで巡らせ、ある四字を見つけた。


「ああ、それでいいじゃん!」と心中で喜びの声を上げた。



『百人一首なんてどうですか』



この時代の遊びは分からないものが多いはず。

ということで、百人一首を思いついた。


百人一首なら、授業でやったこともあるし、少しなら札も取れるはず……


負けず嫌いな私はそう考えた。



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