5センチの恋
イチの少し照れた顔が浮かんだ。
意識したあの夜から、ゼロか百か、百になるのに時間は掛からなくて。
きっかけは同じベッドで抱き締められた、それだけ。
終わりは、イチに彼女が出来たから。
なんて、ありふれたこの恋も、
あたしには今も、まだ大事で、
消えないこの感情に苛立って見えない“さゆりちゃん”に嫉妬する。
イチに抱き締められるのがあたしでありたかったと、泣けない自分に少し笑った。
Fin