君はガラスの靴を置いていく
└いけないスイッチ
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暫く浅い眠りについた後、保健室に響く妙な音で俺は目が覚めた。
それはガシャンッ!と貴金属か何かが床に落ちる音
先生が戻ってきたのかと思い、俺はカーテンを開けた。
そこに居たのは先生ではなく一人の女子生徒。
消毒液が乗っている銀のトレーを落としたらしく、慌てて拾っていた。
『大丈夫?』
なんとなく声をかけるとビクッとその小さな体が反応した。
『ご、ごめんなさい。寝てる人が居るって気付かなくて………』
何故か申し訳なさそうな顔をする女子生徒に俺はハッとした。
--------------あれ?もしかしてこの人…………。
『2組の糸井千花…………?』
確かにその顔は昨日上田から見せてもらった写真の人物だった。
『……え、そうですけど何で私の名前……』
生の糸井千花は写真で見るより小柄で肌も白い。
制服を気崩す事なく着て清楚な印象だ。
確かに男子が好きなタイプには間違いない。
『俺の事知ってる?一応、同じ学年なんだけど』
すると、糸井千花は小さく頷いた。
『………5組の宮澤洋平君……でしょ?』
うつ向いて答えるその顔は全然俺を見ない。男子と喋る事に慣れてないんだなと直感で分かった。