君はガラスの靴を置いていく



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夕食が終わり日が落ち始めた頃、みんなが花火をしようと言い出した。悠里が『あるよー』と袋いっぱいの花火を見せびらかす。

言えばなんでも出てくんのか、この家は。


『じゃぁ、早速やろうぜっ!』

増田を先頭にみんな外へと飛び出した。その瞬間、ポケットの中で携帯が鳴った。


画面には着信【千花】の文字。



『もしもし、どうした?』


千花から電話がかかってくるのは珍しい。

そう言えば俺、千花にメール返したっけ?遊んでると携帯はほとんど見ないし、自分がメールを返信したかどうかもすぐ忘れてしまう。

それで過去に付き合った女達にキレられた事何度もあるし。


『……あ、ううん。用事がある訳じゃないの。ただ、今ちょうど家に帰る途中だから洋平君なにしてるかなって…』


電話越しから聞こえる千花の声は相変わらず可愛い

俺はリビングのソファーに座り、飲みかけのジュースを一口飲んだ。


『なに、俺の声が聞きたくなった?』

『----------!!』


電話越しでも千花の動揺がすぐ分かる。


『え、い、いや、えっと……』

いつになったら千花は免疫が付くんだろう。
まぁ、そこが良い所なんだけど。


『はは、大丈夫。俺もちょうど千花の声が聞きたかったから』


増田達が外に出てくれて良かった。『どの口が言ってんだよっ?』って野次られそうだし。




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