君はガラスの靴を置いていく




そこに居たのは不適に笑みを浮かべる悠里だった。


『あれ、外に行ったんじゃないの?』

俺は平然と携帯をポケットに閉まった。


『私以外のみんなは行きましたよ?私は先輩と行こうと思ってずっと待ってました』

『とか言って、ただ盗み聞きしてただけでしょ』


別に千花との会話を聞かれたからって何でもない。でも悠里の場合は俺の一挙一動(いっきょいちどう)を観察するように見てるから苦手だ。


『はは、盗み聞き?そんなんじゃないですよ。たまたま聞こえただけです。…………でも1つだけ分かっちゃいました』

『?』

『先輩って--------------』



『彼女の事、全然好きじゃないんですね』


ほらね、だから苦手だ。

悠里もきっと数々の男と遊んで、甘い言葉で誘惑して、欲しい物を手に入れてきたに違いない。


『悠里ってさ、悪い女だよね』

俺は座っていたソファーから腰を上げた。

二人きりの空間で、どこからか笑い声と花火の音が聞こえてくる。外に出た連中は打ち上げ花火をやってるようだ。


『えー先輩に言われたくないですよ。先輩だって使える武器を使って今を楽しんでるでしょ?それと同じです』


『でも俺は女の子に金をたかったりしないよ?』


彼女になった人におごらせたりしないし、好意を寄せてくる女子に金を貸してくれなんて言った事はない。

パパと呼ばれる親父から金を取る悠里とは一緒にしないで欲しい。



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