君はガラスの靴を置いていく
『それは男と女の違いですよ。先輩は彼女を取っ替え引っ替えして、私はランクが上の人と付き合ったり遊んだりして自分の価値を上げてるんです』
悠里が少しずつ俺に近付いてくる。
白いTシャツに短いショートパンツ。フローリングの床からは悠里の足音が響いていた。
『価値?』
『先輩だって可愛い子と付き合って、周りから羨ましがられて価値が上がっていくでしょ?それと同じです』
『なら俺と遊んでも無意味だよ。俺は金もないし普通の高校生だから悠里の価値は上がらない』
そう言い終わると、俺と悠里の距離はわずか数センチになっていた。悠里の体からは甘い香水の匂いがする。
『そんな事ないですよ。先輩のステータスってけっこう高いです。それに…………………』
ふわりと悠里の髪の毛が揺れて、細い指先が俺の肩に触れた。
『私達合うと思いますよ、色々と』
耳元で囁かれたその声にぞくっとした。
こうゆう女はどんな声で鳴くのだろうか。その可愛い顔の歪んだ姿を想像しながら俺は理性に打ち勝った。
理由は彼女が居るって事ともう一つ。
簡単に落ちて、簡単な男になりたくないってプライド。
これをパーセンテージにしたら、後者が勝つと思う