君はガラスの靴を置いていく




そして1時間電車に揺られて、3時過ぎに最寄り駅に着いた。日が延びたせいかまだ昼間のようにジリジリと暑い。

増田はこの後、別の友達と約束があるらしく、
まるは家に帰って寝るんだって。


『宮澤はこの後どうすんの?』


ここから歩いて帰っても中途半端だし、家に寄ったら外に出るのが面倒くさくなりそう。

俺はまるの自転車を見ながら考えた。



『あのさ、チャリ貸してくんない?後、うちの生徒会の連中が通ってる夏期講習の場所分かる?』


まるが言うには恐らく、隣駅前にある“河崎塾”じゃないかって。千花を迎えに行くって言ったらすぐに自転車を貸してくれた。


『じゃぁ、糸井さんによろしく』

まるはそう言って家に帰って行った。


多分、まるは気付いてる。

悠里の興味が俺に向いてる事も、俺の持続時間も。

まるは俺以上に俺を知っているから、そのタイムリミットが見えているのかもしれない。


俺はそんな事を思いながら河崎塾へと向かった。



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