君はガラスの靴を置いていく



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隣駅に着くと、駅前にでかでかと塾の建物があった。

予備校生募集とか〇〇大学合格の人数とか、俺には関係ない貼り紙が沢山。せっかくの夏休みなのに勉強して何が楽しいんだか。


時間は4時を回って、中からぞくぞくと人が出てきた。千花には何の連絡もしてないけど、ここで待ってれば多分気付くはず。


……それにしても、塾の前で誰かを待つなんて思わなかったな……。

いつもはこんな所、通り過ぎるだけだし。


暫くすると見覚えのある顔が見えた。
多分うちの生徒会の奴らだ。

あれ、生徒会って事は…………………………



『よ、よ洋平君??』


塾から目を丸くした千花が出てきた。

やっぱり場違いな俺は目立つらしく、速攻で気付いたみたい。いや、そんな事より俺は千花の隣に居る人物の方が気になる。

それは豊津聖夜。


そう言えばこいつも一緒に通ってるって言ってたっけ。

私服もなんか爽やかだし、夏休みに見たくない顔見たって感じだ。


『洋平君、どうしたの?』

千花が膝たけのワンピースを揺らして走ってきた。

豊津聖夜の顔を見る限り、俺達が付き合ってる事は知らなかったようだ。



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