君はガラスの靴を置いていく
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『ねぇ、どこに行くの?』
俺は千花を自転車の後ろに乗せて走っていた。下り坂の風は気持ちよくて、まるに自転車を借りたのは正解だった。
『んー内緒。ってか豊津先輩に付き合ってるって言っちゃったけど大丈夫だった?』
『………あ、うん、大丈夫だけど……』
千花の返答は何故か煮え切らない。
『なに、先輩にバレたくなかった?』
『ううん、違うの。そうじゃなくて、色々な人に知られる度に実感するって言うか……よ、洋平君の彼女になったんだって』
千花がぎゅっと俺の洋服を掴んだ。
風が吹く度に体から甘い匂いがする。
多分、悠里の香水だ。
やましい事はしてないけど、鋭い女ならすぐに気付くはず。千花は純粋で無垢(むく)だから俺の汚い部分が見えていない。
『うん、千花は俺の彼女、
それで俺は千花の彼氏だよ』
悠里に悪い女だと言ったけど、
俺も負けずに悪い男だと思う。