君はガラスの靴を置いていく
『んで?糸井さんとは上手くいってんの?』
まるがコンビニのおにぎりを食べながら聞いてきた
俺がどんな女と付き合っても興味を示さなかったのに、千花との事は色々気になるらしい。
『さぁ、どうだろうね』
俺の返事は他人事のようだった。
だって、上手くいってる定義がなんなのかイマイチ分かんない。
喧嘩もしないし、不満もない。それが上手くいってると言うのならそうなのかもしれないけど………
『多分俺、こんな事宮澤に初めて言うんだけど』
まるは食べ終わったおにぎりの袋をグチャグチャに丸めた。
『なに?』
『宮澤と糸井さんって根本的に合わないと思う』
まるは俺の恋愛に口出ししたりしない。
たまに呆れたり、諭す事はあっても止めとけば?
とかあっちの子の方がいいとか俺の意見を否定した事は1度もなかった。
『糸井さんってさ……………
宮澤が思ってる以上に宮澤の事好きだよ』
千花にとって俺は初めての彼氏。
デートをするのも
手を繋ぐもの
キスをするのも俺が初めて。
その一瞬、一瞬が千花には特別なもので大事にしてくれている。だからこそ----------------。
『糸井さんは簡単に傷つくよ』
女子を傷つける事には慣れている。
恨まれる事も嫌われる事も。
『平気だよ、今までみたいに上手くやる。
まぁ、なるようになるよ』
まるは『はぁ……』と呆れた顔をしたけど、これ以上何かを言ってくる事はなかった。
------------大丈夫、上手くやる。
大抵の事はこれで乗り切ってこれた。
だから今回も大丈夫。