君はガラスの靴を置いていく
『今用意するんで、玄関で待っててください』
悠里はそう言って2階へと上がっていった。
家の中は想像以上の広さで天井には大きなシャンデリア。正直、玄関で寝泊まり出来そう。
悠里の家に行くのは抵抗があったけど、増田達も来るらしいし家の中に上がらなければ問題ない。
悠里も玄関で待たせるって事は長居させる気はないようだし。
『先輩、もしインターホンが鳴ったら出てもらえますか?そろそろみんな来る頃だと思うんで』
2階から悠里の声が聞こえてきた。
『あー、いいけど』
俺は悠里を待つ間、高そうな装飾品を見て“いくらするんだろう……”とか、そんな事ばかり考えていた
と、その時-----------------。
ドンっっ!!と何か大きな音がして、
同時に悠里の叫び声が聞こえてきた。
『きゃーっ!!!』
静まり返る家の中で、2階からは物音一つ聞こえない。
『おい、どうした?』
『………』
玄関から呼び掛けても応答はない。
『悠里?おい、悠里』
再度呼び掛けたが結果は同じ。
…………な、なにがあったんだ?
つーか家の人は居ない訳?
少し考えた末に俺は靴を脱いで、2階へ様子を見に行く事にした。もし何かあったら大変だし。
『……悠里?』
2階には複数の部屋があって、一番東側のドアが数センチ開いていた。
『おい、大丈夫か?』
ドアノブに手をかけると中は真っ暗で何も見えない
この部屋じゃないんだと思い引き返そうとした時、何故か開けたドアがパタンと独りでに閉まった。
そして背後に気配を感じて、ゆっくりと何者かの手が背中に伸びてきた。