君はガラスの靴を置いていく




『今用意するんで、玄関で待っててください』


悠里はそう言って2階へと上がっていった。

家の中は想像以上の広さで天井には大きなシャンデリア。正直、玄関で寝泊まり出来そう。


悠里の家に行くのは抵抗があったけど、増田達も来るらしいし家の中に上がらなければ問題ない。

悠里も玄関で待たせるって事は長居させる気はないようだし。



『先輩、もしインターホンが鳴ったら出てもらえますか?そろそろみんな来る頃だと思うんで』

2階から悠里の声が聞こえてきた。


『あー、いいけど』

俺は悠里を待つ間、高そうな装飾品を見て“いくらするんだろう……”とか、そんな事ばかり考えていた

と、その時-----------------。


ドンっっ!!と何か大きな音がして、
同時に悠里の叫び声が聞こえてきた。


『きゃーっ!!!』


静まり返る家の中で、2階からは物音一つ聞こえない。


『おい、どうした?』

『………』

玄関から呼び掛けても応答はない。


『悠里?おい、悠里』

再度呼び掛けたが結果は同じ。


…………な、なにがあったんだ?
つーか家の人は居ない訳?

少し考えた末に俺は靴を脱いで、2階へ様子を見に行く事にした。もし何かあったら大変だし。



『……悠里?』

2階には複数の部屋があって、一番東側のドアが数センチ開いていた。


『おい、大丈夫か?』

ドアノブに手をかけると中は真っ暗で何も見えない

この部屋じゃないんだと思い引き返そうとした時、何故か開けたドアがパタンと独りでに閉まった。


そして背後に気配を感じて、ゆっくりと何者かの手が背中に伸びてきた。



< 133 / 300 >

この作品をシェア

pagetop