君はガラスの靴を置いていく
こんな事を悠里に聞くなんてどうかしてる。
清くから一番かけ離れている奴なのに。
『うーん、手を繋いで一緒に帰ったりする事じゃないですか?それで休みの日は散歩なんかに行ったりして。いいですよね~青春って感じで』
悠里からこんな答えが返ってくるなんて意外だった。そうゆう付き合い方を馬鹿にしてる奴だと思ったのに。
『なんですか、その顔。私だって純粋な時があったんですよ?小学生の時なんて男子と話すだけで赤くなってたんですから』
今じゃ想像も出来ないけど、俺だって10年前は純粋だったよ。まさかこんな高校生活を送ってるなんて夢にも思わなかった。
『先輩は彼女と清く正しい付き合い方してるんですか?』
『………』
『って、先輩じゃ無理ですよね。そんなの退屈で物足りない。違います?』
手を繋いで散歩をするのも悪くない。
でもそれは最初だけ。
最初は楽しいんだ、なんだって。だけどすぐに飽きて新しい刺激を求めてしまう。
だから俺は誰と付き合っても長続きしない。
『でも知ってます?相手の事が本当に好きなら、
退屈な事も興味がない事も合わせるのは苦痛じゃないらしいですよ』
悠里はそう言って、俺に馬乗りになった。
細い髪の毛を耳にかけ、ニコリと笑う。
『私達には無理ですね。だって誰も好きになった事がないでしょ?先輩も』
悠里からのキスはソーダの味がした。