君はガラスの靴を置いていく
悠里と関係を持った事は増田やまるには言ってない
増田は羨ましがりそうだけど、まるには軽蔑されそうだし。
俺がどんなに女を取っ替え引っ替えしても、浮気はしないって信念があったからまるも何も言わなかった。
別に浮気ぐらいみんなしてると思うけど、彼女が千花だからバレたら色んな奴から罵倒されそう。
『なぁ、おしゃれにハットとか被ったらどう?』
『似合わないからやめとけ』
その後、色んな店を周り増田の洋服選びに付き合った。散々悩んで買ったのはTシャツ1枚だけ。
『つーかこれ街に来る意味あったの?』
増田に昼飯をおごってもらい、ファーストフード店に入った。そしてまるが俺の気持ちを代弁してくれた。
『お前らが文句ばっかり言うからだろ!俺が選ぶ服はどれも似合わないとかダサいとか言いたい放題言いやがって』
だって本当の事だし。本音を言えるって事は友達の証拠だよ。それに…………………
『いつもの格好でいいよ。洋服でその恋愛が上手くいかねーなら付き合えてもすぐ終わるよ』
『…………宮澤……。でもお前に言われても説得力ない』
『ぷっ、確かに』
まるが吹き出した所で誰かの携帯が鳴った。
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このうるさいだけの着信音は増田だ。
『はいはい、もしもし?』
増田が電話に出るとすぐにその顔色が変わった。
『え、全然聞こえないんだけどなに?
どうしたの?』
微かに聞こえる電話の向こう側の音は雑音だらけだった。
『誰から?』
俺が聞くと増田は電話を差し出した。
『明日香から。でも何言ってるかわかんねー』
『………?』