君はガラスの靴を置いていく




『もしもし、明日香?』

電話を代わるとすぐにただならぬ雰囲気を感じた。



『み、みやぁ……っ……っ………』

泣きじゃくる明日香は呼吸が整っていない。
この雑音からして場所は外だ。


『どうした?泣いてるだけじゃ分かんないだろ』

『……っ…っ……みや助けて、今すぐ来てお願い…』


明日香がそう言うと電話はプツリと切れてしまった

明日香の泣き言はいつもの事だ。でも電話に気付かなかったまるや俺の携帯は明日香の着信で埋まっていた。

こんなの普通じゃない。


『……もしかして明日香ちゃん……』

まるが1つの可能性を口にした。
多分俺も同じ事を考えている。


『と、とにかく探しに行こうぜ!後ろでドンキの音がしたからもしかしたらこの近くかも』


増田が勢いよく席を立つと、それに俺達も続いた。


『も…もしかして東通りのドンキじゃない?あそこの近くにあのビルがあるから』

まるが道案内をするように走った。

増田がどこまで事情を知ってるか分かんないけど、増田は友達が多いから人づてに明日香の事を聞いていたのかもしれない。



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