君はガラスの靴を置いていく
東通りに着いて、手分けして明日香を探したけど見つからない。電話もずっとかけてるけど電源切れたままだし。
『……はぁ……ここじゃないのかな?場所さえ分かればすぐ見つけられるのに』
まるも増田も汗だくになっていた。
『……とりあえずもう少しだけ探してみようぜ。
それにまだ何かあったって決まった訳じゃないし』
この状況で俺だけが冷静だった。
心のどこかで、もしかしたら明日香はただ男に振られて助けてなんて大袈裟な事を言ってるだけかもしれない。
そんな事を考えていた。
俺が探しにきた東通りの外れは人気がなくて、営業してるんだか分からない店がいっぱいある。
街を知ってる人なら絶対近寄らないこの場所は怪しげな匂いがぷんぷんした。
-------------と、その時、
カサッとビルとビルの隙間で何かが動いた気がした
『明日香?』
気付いたら名前を呼んでいた。
するとそこからうずくまった明日香が顔を出した。
『………み、み、みやぁぁ……っ』
明日香は泣きながら俺に抱きつく。明日香は何故か裸足で洋服も転んだのか泥だらけだった。
『おい、なにがあった?』
『……っ……っ……』
俺がいくら聞いても明日香はただ泣くだけ。
『とりあえずここから離れるぞ。今まる達にも連絡するから』
明日香の手を引いて携帯のリダイヤルを押した瞬間、無数の足音が俺達の前で止まった。