君はガラスの靴を置いていく
『ったく、こんな所まで逃げやがって』
どうやらこの男達は明日香を探していたようだ。
『長谷川!お前の女だろ?警察にでもチクられたらどうすんだよ』
恐らく長谷川と呼ばれる男があの海に居た男だ。
男の顔を覚えるのは苦手だけど、なんとなく見覚えがある。
『おい、明日香。俺達はまだ何にもしてないだろ?お前が俺の部屋に来たいって言うからその通りにしてやっただけじゃん』
『………っ…』
事情は知らないけど、多分部屋に行ったら大勢の男達がいて怖くなって逃げてきたって所か。
だから気を付けろって言ったのに。
『つーか、お前誰?明日香をこっちに渡してくんないかな?明日香は俺の女なんだよ』
明日香がギュッと俺の後ろで洋服を掴んだ。
ここで知らん顔すれば面倒事には巻き込まれない。でもまるや増田が汗だくで探していた明日香を渡せば、俺はクズになる。
『はぁ……自分の女なのに大勢の男集めて何する気だったんですか?女子高生の裏ビデオは金になるんだっけ?』
明日香が逃げなければ確実に無理矢理ヤられて、
その姿をビデオに撮られてた。
それを売る方も売る方だけど、買うやつがいるんだから頭がおかしい。
『分かってるなら渡してくれない?それとも君も混ざる?一度ハマると止められないよ』
男達が俺達に近付き、囲むように円になった。
『はは、モテない男って可哀想ですね』
『てめぇ……』
1人の男が殴りかかってくると、それに続いて全員の拳が飛んできた。