君はガラスの靴を置いていく
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場所を移動した俺達は花壇の石段に座っていた。
『痛っ………』
明日香はあの後急いでドラッグストアで絆創膏と消毒液を買ってきた。自分だってボロボロなのに裸足のまま。
まるが行くって言ったのに“自分のせいだから”と聞かなかった。
『ごめんね、本当にごめんね………』
明日香は何度も謝りながら、俺の傷に絆創膏を貼っていた。
顔は多少腫れてきてるし、口の中がとりあえず痛い。 血の味がするから恐らく切れてる。
『俺はいいから増田を………』
『いやいや、平気。ちょっと頭にかすっただけだし、俺石頭だから問題なし』
増田は流血した部分を明日香のハンカチで押さえながらVサインをした。
こういう時、増田の明るさは助かる。
何にせよ、この程度で済んで良かった。
『………明日香ちゃん、警察にこの事言った方がいいんじゃないの?』
まるの言葉に明日香は首を横に振った。
『ううん、あんな男に引っ掛かった私も悪いし……
それに寸前で逃げてきたから何もされてないしね』
明日香は強がっていたけど、体は震えていた。