君はガラスの靴を置いていく
そんな明日香を見て、少し責任を感じていた。
明日香はもう子供じゃないし、自分の行動は自分で責任を持つべきだ。
でも明日香が恋に盲目なのは知っていたはず。
まるから事前に男の怪しい部分は聞いていたけど、忠告はしなかった。
男を信用して部屋に入って、騙される予測が出来なかった訳じゃない。
でももし俺達の勘違いだったら?
明日香が本気で相手も本気だったら?
もしそうだったらいいなって思ってた。そしたら明日香も落ち着くだろうし、面倒事が回ってこないと思ってたんだ。
結局俺は自分の事ばかり。
自分さえ良ければって感覚が抜けない。
『………遊んでた時は優しかったんだ。…まさかこんな事になるなんて……。慌ててみんなに電話しちゃったけど助けてなんて被害者面する資格ないよね……』
俺は落ち込んでる明日香のおでこを小突いた。
『ばーか、もういいって。
別にこんなキズ大した事ねーし』
増田も俺に同調するように頷いていた。
多少痛いけど数日もすれば良くなるだろ。
『うぅ………もう、あたしってなんでこうなんだろう。駄目だよね、本当……』
『はぁ、お前が男居なきゃ駄目なのは知ってるっつーの。男友達多いんだから寂しいならそいつらと遊べ。増田もまるもいつも暇してんだからよ』
『……………』
『それにお前のうざい泣き言なら俺が聞いてやる。ただし夏休み限定な。お前話し長いから聞いてやる代わりになんかおごれよ』
明日香は再び、大粒の涙を流して
『うん、うん、うん、』と何度も頷いていた。