君はガラスの靴を置いていく
そして放課後、まるが担任に呼ばれたから俺は先に自転車置き場に向かう事にした。
女子生徒の笑い声が昇降口で響く中、2年の靴箱付近に3年生の姿が。
数人の男子生徒は雑談しながら邪魔な場所に集まっていた。
俺は男だから分かるけど、あーやって横を通り過ぎてく後輩を吟味(ぎんみ)してるんだと思う。
その中で一際、モテオーラを放ってる奴がいる。
それはさっき話していた豊津聖夜。
聖なる夜って書いて聖夜とかどうなの?
なんか色々出来すぎじゃね?
そんな事を思っている中、2組の下駄箱から一人の女子生徒が出てきた。
--------------------それは間違いなく、糸井千花。
“3年の豊津先輩が狙ってるって噂で聞いたよ”
まるの言葉が頭を過る。
まさかあれ、糸井千花の事待ってるとか?チャンスがあれば話しかけようとか思ってそう。
現に、豊津先輩めちゃくちゃ糸井千花の事見てるし
当の本人はその事に全然気付いてなくて、少しずつ先輩達の居る方に歩いていく。
一歩、また一歩と豊津先輩との距離が近くなる中、俺は慌てて靴を履いた。そして-----------。
『千花ちゃん、待った?』
後ろから糸井千花の肩を叩いた。