君はガラスの靴を置いていく
学校に着いて教室に入ると、いつもの顔ぶれが揃っていた。
『お、宮澤と丸山きた』
『洋平久しぶり~。元気だった?』
『つーか課題やった?俺まったくやってないんだけど』
クラスの奴等は相変わらずで、みんな肌がこんがり焼けていた。また今日から騒がしい生活が始まるのか。
『はぁ……結局、夏休み中に彼女出来なかったな。
ねぇ、なんで?俺のどこが駄目?』
この一際、面倒くさいのは勿論増田。
金髪から黒髪に戻したらしいけど、日が当たると髪色は真っ赤でいつからビジュアル系になったんだって感じ。
そんな増田は放っておいて、二学期がはじまるチャイムが鳴り響いた。
その後、長い始業式を乗り気って廊下を歩いていると、誰かに腕を掴まれた。
『洋~平っ♪』
それは違うクラスの女子。
『洋平、夏休み全然遊んでくれなかったじゃん!
噂で聞いたけど2組の子と付き合ってたんでしょ?』
…………こいつの名前なんだっけ。記憶にない女からの連絡は全部無視してたし、いちいち全員を相手にしてたら身がもたない。
『でももう別れたんでしょ?だったら遊ぼうよ!
今日はこれで学校終わりだしさぁ』
だからなんで俺の情報はすぐ広まる訳?
絶対誰かが流してるだろ。
-------------と、その時、
背後でか細い声が聞こえた。
『……………洋平君』
振り向くとそこには千花がいた。