君はガラスの靴を置いていく
『こら、あんた達いつまで2階に居るの!
圭介、早く洋平と下に降りてらっしゃい!!』
階段下で母さんが怒鳴っていた。
時計を見るとまだ9時過ぎて、休日にこんな早く起きるなんてあり得ない。
『なんなの、まじで』
『いーから一緒に来い』
強引に1階へ下ろされ、リビングに向かうと見知らぬ女の人が立っていた。
『初めまして、村前 里英(むらまえ りえ)です』
状況が理解出来ない俺は助けを求めるように母さんを見た。母さんも休日のくせに化粧をして、家では絶対着ないような服を着ている。
『俺達結婚するんだよ』
そん中、圭にいがさらりとすごい事を言った。
---------------け、け、結婚!?
母さんの話では電話で今から挨拶に行くと言って、いきなり来たらしい。
圭にいが女を家に連れてきたのは初めてじゃない。朝起こしに行ったら女と寝てたとか、彼女と言って1週間連続違う女を連れてきたのは有名な話。
『ごめんな、予定が今日しかなくってさ。
親父は仕事だろ?』
『当たり前でしょ。お父さん午前会議があるって
今日も仕事行っちゃったわよ』
『すみません。急に……』
『あらあら、里英さんいいのよ。こっちこそ何の支度もしてなくて。朝ごはんは食べてきたの?』
コロコロと変わる母さんの顔。
改めて見ると確かに2人の薬指には指輪がしてあった。
結婚って……あの圭にいが?
まじかよ。