君はガラスの靴を置いていく
そう言えば前言ってたっけ。
手を繋いで帰ったり、散歩したりするのが青春みたいで良いって。憧れはあるけど実際には物足りない。
だから俺は千花と別れた。
不安も不満もないけど何かが足りなかった。
悠里の言っていた通り、この球技大会中何度も千花と豊津先輩を見かけた。「あの二人付き合いはじめたの?」なんて噂が流れるくらい。
先輩は内心、俺に横取りされた事を悔いていたのかもしれない。
以前の先輩は消極的で影から千花を想うだけだったけど、今はすごく積極的になっている。
『うぉっ、宮澤あぶねー!』
ボーッとしている最中、増田の蹴ったボールが顔面に直撃した。思った以上に痛くて一瞬、記憶が飛びかけた。
2回戦目の相手は同学年の2―3。友達も居るし遊び半分で気を抜いてたらまさかの顔面ボール。
『わ……悪い宮澤、大丈夫か?』
チームメイトが駆け寄ってきて蹴った張本人の増田が俺より顔面蒼白だった。
『殺す』
『ひぃぃぃ、ご、ごめんなさい!』
痛みはなかったけど審判をしてる先生が念のため保健室に行くように進めてくれた。
増田の反応が面白いから怒ってる風にしてるけど俺的にはサボれて超ラッキーって感じ。