君はガラスの靴を置いていく
『あーぁ、最近全然いい事ねーわ』
その日の昼休み、増田はパンを食べながらぶつぶつとぼやいていた。
結局、球技大会は3回戦負け。
優勝も出来なければ打ち上げ代もなし。まぁ、
そのあとみんな自腹でカラオケとか行ってたけど。
『ちょっとっ!屋上行ったのに誰もいないし。
教室で食べるなら教えてよ』
何故か怒りながら明日香が弁当片手に2組に入ってきた。
そもそも一緒に食べる約束してないし、ただでさえ女友達少ないんだからクラスに馴染んでこいよと言いたい。
言ったところでまたブーブーと文句を言うから言わないけど。
『つーか増田っち元気ないじゃん。
どうしたの?』
『聞いてよ、明日香~』
増田の相手役が明日香に代わり、俺とまるはその隙におにぎりを食べた。
『まる、そういえばどうなの?えーと、ほら夏に連絡交換した後輩の子』
『今もたまに遊んだりしてるよ』
『ふーん、付き合わないの?』
『どうかな。そんな話しした事ないし向こうが俺の事どう思ってるか分かんないし』
そういえば球技大会後、また新たなカップル増えたな……。これから文化祭とかあるし、だから増田は荒れてんのか。
そんな事を思いながら窓の外に目を向けると中庭のベンチに例の二人の姿を発見した。