君はガラスの靴を置いていく



仲良く隣合わせで弁当を食べている。昼まで一緒とかどんだけだよ。


少し心の声が顔に出たのかまるがすぐに気付いた。


『先輩と糸井さん常に一緒にいるね。まぁ、ほとんど先輩が押し掛けてるように見えるけど』

『……』


豊津先輩の嬉しさは俺にまで伝わってくる。
ずっと片思いしてたわけだし当然か。


こうして千花を離れた場所から傍観してるとあんなに表情豊かだったかなって思う。

笑い方もひとつじゃなくて、困ったり慌てたりするのも多種多様で………。いつも隣にいたからかな?俺の記憶にある千花は今とは別人みたい。


『なぁ、俺と居た時もあんな顔してた?』

『え?あ、うん。してたと思うけど』


『…………そっか』


いや、きっと俺が見てなかっただけなんだ。

話しをしながら違う事を考えてたり思ったりして、一緒にいたけど遠くにいた。だから千花は寂しかったんだと思う。


あの笑顔が俺に向けられていたのにどうして見てあげなかったんだろう。

大切にしなかったんだろうって今さらながら思ったりして…………



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