君はガラスの靴を置いていく
『私も最近困ってるんですよ。ほら、文化祭近いじゃないですか。一緒に回りたいってしつこく誘ってくる人達がいて』
そう言えば俺も何人かに言われたな。増田のひがみがうざいからキッパリ断ったけど。
結局、メイドカフェはなくなって教室でプラネタリウムをやるという結論に落ち着いた。
お化け屋敷、駄菓子屋、迷路と色々案は出たけどどれも他のクラスと被ってたし、担任が天文学好きという都合いい理由からそういう事になった。
勿論、増田はかなり反発してたけど楽そうだし俺的には良かったって感じ。
『一緒に回ります?うちのクラス映画研究部の人がなんか上映するだけの出し物になったんですよね~』
この語尾を伸ばす言い方には裏がある。
『だったら断った奴誘えば?俺はもう変な噂流れるの勘弁だし』
『あー、病気のアレですか?先輩がそんな下手な事するわけないですもんね』
悠里はクスクスと笑った。
いや、他人事みたい言ってるけど悠里にだけは笑われたくない。自由奔放に遊んでるのはそっちも同じだろ。
『でも本当かどうか試してみたいかも』
悠里は俺に近付いて冷たい校舎の壁に手を置いた。今流行りの壁ドン。普通は逆だけど。