君はガラスの靴を置いていく
自転車を停めた場所は神社の前。
鳥居があり階段があって、その先には境内(けいだい)。ごく普通の神社だけど千花に見せたいものがここにはあった。
『ここね、恋の神様が居るらしいよ。なんでか分かる?』
『………?』
首を傾げる千花を弊殿(へいでん)の近くに案内した
そこは参拝者が神様に捧げ物をする場所で、見て欲しいのは建物の周り。
一見、ただの草が生えてるようにしか見えないけど……………。
『千花、よく見て』
『…………これって…全部四つ葉のクローバー?』
そう、小さな建物を囲むように生えている草は全て四つ葉のクローバー。
見つけたのは本当に偶然で、サボれるいい場所はないかなって徘徊してたら発見した。
千花はその場にしゃがみこみ、四つ葉のクローバーを優しく触った。
『すごい、一つでも見つけるの大変なのに』
思った通り、千花はすごい嬉しそうだった。女の子がこうゆうのに弱い事は知っているから。
『だからここ、恋がよく叶うんだってさ』
俺はそんな千花の横に座った。
なんとなく表情が和らいで固さが取れたようにも見える。
今まで派手な女ばかりと付き合ってきたから、千花は新鮮でいい。擦れてないってゆーか汚れがない感じで。
『………でも恋の神様って宮澤君、明日香ちゃんと付き合ってるんだよね?』
『………はぁ?』
思いがけない言葉についつい強い反応が出てしまった。