君はガラスの靴を置いていく
『糸井さんって笑うんだ……』
少し感動している増田に嫉妬した。だって千花を笑わせたのはこいつだし。絶対可愛いとか思ってそうだし。
『そう言えば増田、糸井さんとこうして話すの初めてだっけ。俺は勉強教えてもらった事あるし』
まるはコーヒー牛乳を飲みながら増田が焼きもちを妬きそうな話を振る。
『あ、私は今いとりんと前後の席なんだよ!授業で当たる日はこっそり教えてもらってんの♪』
なんか仲良しアピールみたいなのが始まったし。
『は?ずるい!俺も普通に友達になりたい!宮澤とは気まずいかもしれないけど俺ら関係ないもんな』
関係ない発言二回目。
むしろこいつらが俺の友達か?
普通は友達の元カノと仲良くなるのは気まずいはずだけど、面倒な事全部飛ばして自由な所がある意味救われる。
お互いに気を使ったり、言いたい事も言えない関係だったらここまで友達としていられなかったと思うし。
『……うん、私が友達でいいのかな。でも嬉しい』
それに千花の嬉しそうな顔も見れた。
二人きりになれなくてもみんなでわいわい楽しめる日が来るかもしれない。拒絶されてもおかしくない俺がその輪に入れるだけで充分だ。
『じゃぁ、来年は一緒に海とか行こうぜ』
増田が来年の約束をした所で昼休みが終わるチャイムが鳴った。ばたばたと食べたゴミをまとめてみんな一斉に屋上を出た。