君はガラスの靴を置いていく
『なんか、ごめん』
2階へと下る階段でいつの間にか千花は俺の隣にいた。
千花は優しいから断れなかったんじゃないのかなとか、騒がしくて疲れなかったかなとか今さらながら考えていた。
『ううん、前から思ってたけど宮澤君の周りの人達はみんないい人だよね』
また何かを思い出したのか千花はクスクスと笑いはじめた。
やっぱり新鮮だ。それにここ最近ずっとモヤモヤしていたものがない。
千花と少しでも話す事が出来たからだろうか……
『え、な、なに?』
横顔を見すぎたのか千花が戸惑うように目を泳がせた。
『いや、今日は普通だなって思って……』
『昨日はごめんなさい。宮澤君とどう接したらいいか分からなかったの』
日数は短かったけど確かに俺達は付き合ってた。
だからこそ別れて関係がなくなると俺達を繋ぐ名前は元カレ元カノしかない。
『じゃ、俺も友達でいい?多分その方が話しやすい』
どんな風に1番になりたいのか、
それはもちろん友達としてじゃない。ても今の距離を縮める為にはここから許してもらわないとダメだ。
『うん、友達ね』
今度は目を見て了承してくれた。