君はガラスの靴を置いていく
先に動揺したのは俺の方。
だってどう見てもやばいじゃん。自分の彼女が触られてたら普通は怒るし、むしろ殴られても不思議じゃない。
俺は元カレだから尚更だ。
『千花ちゃん起きちゃうから外で話そうか』
先輩は動揺した素振りも見せず淡々とそう言った。その表情は何を考えてるのか分からなくて逆に怖い。
とりあえず図書室を出た俺達は廊下で向かい合った。
『ずっと話したいって思ってたんだ』
先輩は怒るどころか普通のトーンで言った。
『話したい……?俺と?』
『うん、そう』
-----------それは一体どういう意味で?
まさか俺が千花を好きな事がバレた?明日香や悠里という漏れる原因がたくさんあるからそれもあり得る。
『俺と千花ちゃんが付き合いはじめたのは知ってる?』
『………知ってます』
むしろ知らない奴なんて居るの?千花は自分の物だ、みたいに常に一緒に居るくせに。
『千花ちゃんから何か聞いてる?』
『聞いてるって……何をですか?』
『いや、何も聞いてないならいいんだ』
いや、なにそれ……!すげー気になるし話の主旨が全く分からない。先輩は怒る為に俺を呼んだんじゃないの?
『先輩は……彼女が他の男に触られてても平気なんですか』
俺が言う台詞じゃないけど。
『平気じゃないよ。特に宮澤君には触って欲しくないかな』
『………』
腹の中じゃ俺の事が気に食わないくせに普通の顔して……。これじゃ殴られた方がずっとマシだ。