君はガラスの靴を置いていく
ギターの豊津先輩しか知らないけど、どうやら他の男子も人気があるらしい。
『どうもー!みんな盛り上がってる~?』
ボーカル担当の人がみんなにマイクを向けると女子達がまた沸いた。
つーかなにこれ。
文化祭でバンドやるだけでこんなキャーキャー言われんの?だから増田はやる気になってたのか。
『お前もイケメン好きなのにテンション低いね』
明日香はまだブルーモードなのかしかめっ面で腕組みしたまま。
『は?あんなの全然イケメンじゃないよ!雰囲気だけ。まぁ、豊津先輩は普通にカッコいい方だと思うけどさ』
確かに他の3人より豊津先輩を呼ぶ声の方が圧倒的に多い気がする。千花は彼女だし変な風に注目されなきゃいいけど……………あ。
ステージから目線をずらすと非常出口がある隅っこで千花の姿を発見した。
てっきり最前列で見てると思ってたのに………。
明日香に言うべきか?でももうすぐ演奏が始まる。
『では、聞いてください』
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先輩達はノリのいい曲ではなく静かなバラードを演奏し始めた。それは定番のラブソング。
俺は演奏を聞きながら千花の方ばかり見ていた。