君はガラスの靴を置いていく
体育館からはアンコールの声が聞こえて再びあのラブソングの演奏がはじまった。
先輩はきっとどこかで見ていると思ってる千花に向けて弾いてるんだと思う。絶対泣かせないって言ったのに………
『千花、ごめん。
今聞く事じゃないけど聞きたいから言う』
もしこの答えを聞いてしまったら、俺はしばらく立ち直れない。でも二人の事をひとづてに聞くより千花の口からちゃんと聞けば何かが変わる気がして。
『豊津先輩の事好きなの?』
聞いてしまった………
付き合ってるんだからそうだろうと思うけど、
これだけはいつか聞かなきゃって思ってた。
『………なんでそんな事聞くの?』
『気になるから』
『気になる?なんで?宮澤君には関係ない事じゃない』
ここで気持ちを言った方が早かっただろうか。
いや、あんなのろけを聞いたあとに告白するメンタルは持ってねーよ。
『関係ないけど気になる。先輩の事好きなの?』
今度は少し強引に言った。
『…………』
千花は何も答えてくれない。
怒ってるのか困ってるのかもよく分からない。
『なんで無言?俺には言いたくない?』
『………』
千花がコクリと頷いたのを見て、俺は何も言えなくなった。
『分かった』
そう言って先に立ち去ったのは俺の方。
なんか先輩を好きだと言われるより、関係ないから何も言いたくないって言われた今の方がダメージでかい。
なんかすげー落ち込んできた。