君はガラスの靴を置いていく



『でも私、みやがいとりんに惹かれる意味がわかるよ。いとりんはみやにないものをいっぱい持ってるもんね』


きっと明日香は最初の頃、千花の事が苦手だった……と思う。タイプも違うし話も合わないし。

だけど徐々に打ち解けあって明日香は明日香なりに俺の知らない千花を見てきたんだろう。


『忘れようとか、諦めようとか、そんなのいくら思っても無駄だよ。そうやって考えてる内はね』

『……』


『私、片思いのプロだから』


明日香がまだ俺に想いがあるのは知ってる。だからこうして相談のような事をするのは間違いなんだと思う。


『もし、辛かったら電話で泣き言くらい聞いてあげる。へへ、前にみやが言ってくれた言葉』


明日香に励まされるなんて俺はまだまだだな。


『おう、サンキューな』

このぐらいで落ち込んでいられない。


傍観者になりたくないから豊津先輩に自分の気持ちを宣言した。諦めたくないから千花をいつも探してる。

明日香のおかげで折れかけていた心が立ち直った。



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