君はガラスの靴を置いていく
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『ってか聞いた?豊津先輩医大目指してるらしいよ』
『だって先輩の家、病院だし将来はそこで働いていずれ後継ぐらしいよ』
3年は受験が近付いてきて進路の話も増えてきた。うちの学校から初めて医大に進むであろう期待の星に先生も生徒達もこの話題ばかり。
『医大とかすごいよね。宮澤は卒業したらどうするの?』
まるは専門に行きたいって言ってたっけ。
俺は全然決めてねーな………
進学する学力も金もないし無難に就職して近場で働ければいいかなって感じ。
多分こんな風に出来る奴と出来ない奴の差が広がっていくんだろうな。
それで何年か後には先輩は立派な医者になって、
俺は目標もなく働いてる未来が見える。
『噂で聞いたけど糸井さんも看護師目指してるんでしょ?』
『んー、らしいね』
先輩は医者で千花は看護師?
やばい、二人が同じ病院で働いてる未来も見えてきた……。
『あ、そうだ。今日帰り別だからよろしく』
まるが思い出したように言った。
『はいはい、彼女と帰るんだろ?』
まるに彼女ができて正直うれしい。まるはいい奴だから早くいい子が見つかればいいなって思ってたし。