君はガラスの靴を置いていく
└絡まる糸
---------------------------------
---------------------
次の日の朝、北から流れ込んだ寒気のせいでかなり外は冷え込んでいた。
『あ、やっぱりマフラーしてくるよね』
『だってさみぃーもん』
いつもの待ち合わせ場所で、まるが肩を小さくして待っていた。自転車を漕ぐわずかな風でさえも寒い。
『今日体育ないからラッキーだよね。こんな日にグラウンド出たら死んじゃう』
なんて、まるが喋ってる隣で俺は大きなあくびをしていた。
『寝不足?』
『んー』
昨日は家に帰ってからずっと図書館での事を思い出していた。久し振りにギュッと抱きしめた千花の体はやっぱり小さくて、思わずあの場所で告白してしまいそうになった。
きっと鈍感な千花でも俺の気持ちに気付いたかもしれない。
気付いてくれた方がいい。
それでまた俺の事を考えてほしい。
俺の事を見てほしい、とか自分勝手に思ったりしてる。