君はガラスの靴を置いていく
『丸山先輩おはようございます』
学校の昇降口でピンクのマフラーをした女の子が近付いてきた。まるの彼女だ。
1回海で会った事あるけどなんか雰囲気変わったな……。普通に可愛いじゃん。
『あ、おはよう!昨日のアレだけどさ』
まると彼女は仲良さげに話を始めて、俺は邪魔しないように先に靴箱へと行った。
今まで人の恋愛をいいなって思った事ないけど今純粋に「いいなぁ」って思った。
両想いってある意味奇跡だよな……
俺の彼氏彼女は好きじゃなくても成立してたから、そう思うと今までの恋愛は本物じゃなかったんだなって思う。
『それで予備校の問題がさ……』
ピクッと反射的に反応してしまった声。
豊津先輩と千花もちょうど登校してきて二人と目が合ってしまった。なんとなくお互いの茶色いマフラーがおそろいみたいに似ていてそれだけでもモヤッとした。
『じゃ、また後でね』
豊津先輩は3年の下駄箱へ行き、同級生の人達と違う階へと行ってしまった。
『………』
『おはよう』
そう挨拶したけど気まずいのか千花はうつ向きながら靴箱を開けた。