君はガラスの靴を置いていく
『そう言いたいところですけど期待外れですいません。少し落ち込む事があって気付いたら先輩の横で眠ってました』
たまたま保健室に来て、たまたま俺がいて、たまたま隣で眠っただけ?
普通に責めたいけどそんな立場じゃねーし。
『つーか色々と終わったよ。千花は俺を軽蔑するような目で見てたしな』
今回の事は事故だけど今までの行いを千花に言ったら同じように俺を軽蔑すると思う。だから昨日の事がなかったとしても遅かれ早かれこんな日は訪れてた。
『じゃぁ、私が言ってた目の前でイチャつく作戦は成功したって事ですね』
『は?成功?なんだそれ。協力するとか言っといて結局駄目になればいいって思ってたんだろ』
今回の事だって悠里にとっては面白い話でしかない。俺が困ればいいと思って昨日の事もしたのかもしれないし。
『駄目に?先輩なにか勘違いしてません?』
悠里はひょいっとブランコを降りて、乱れた前髪を直した。
『糸井先輩の前でイチャつけば~って言ったのはあくまで糸井先輩の本心を探る為ですよ?』
『……?』
『もし糸井先輩にまだ気持ちがあるなら、他の女の子と一緒にいる所を見て怒ると思ったんです』